綺麗に整えられた木地に下地色をのせていきます。この下地色の仕上がりで最終工程の出来が左右されると言われるほど、非常に重要な工程です。ここでは木の特徴にあわせて色を調整する技術が必要とされます。なぜ下地塗装が必要なのかというと、直接木地に完成時の色をのせても狙ったとおりには発色せず、表面的なものになってしまうからです。これではNAKATA HANGERの特徴である、奥深さのある魅力的な色にはなりません。僕たちは最終状態の仕上がりで指定されている色が完成することをめがけて、何層も複雑に色を重ねています。そうすることで、塗装色に奥深さが出ます。色の深みだけでなく、何層にも重ねられた色の向こう側に見える美しい木目を引き立たせることができるようになるのです。職人が自身の目と経験で判断し、微調整を行うことで、塗装の奥に息づく木の美しさを魅せています。これは機械ではできないことで、経験を積んだ職人の技術があってこそのものです。木の色に合わせた調整は感覚と経験を用いて瞬間的に判断しており、最低限の感覚を身につけられるまでに1年はかかると言われています。