1981年、敏雄の長男である中田孝一(二代目代表)が入社。
スーツにぴったりフィットするハンガーを作るため、デザイナーと協業して立体的なハンガーの開発に着手。以後、このハンガーはスーツ・ジャケット用ハンガーの定番アイテムとして評判になり、数多くのテーラーやアパレルブランドで採用される。時代に合わせて進化を続けながら、のちに「Authentic-05」として中田工芸を代表する個人用ハンガーとなる。
DCブランドブームの到来
DCブランドブームが最盛期を迎え、ハンガーの需要もとどまる事を知らなかった。次から次に押し寄せる注文に対し納期に間に合わせるため必死の日々が続いた。会社は急成長し社員数は120人を超えた。旺盛な需要に応えるため1984年には岩中工場を新設。一時的に拠点を全て岩中工場に移し、本社社屋の改築工事が始まった。
名誉
1985年、多年洋服掛製造業に従事した事が認められ、中田敏雄に黄綬褒章が授与される。敏雄は「ハンガーはこれまであまり認知されていなかった。爪楊枝や割り箸ですら大蔵省に年間量の統計があるのにハンガーにはなかった。しかしこれでようやくハンガーという製品が世の中に認められた」と言って喜んだ。
(1975年にイギリス王室エリザベス女王の来日を機に、中田工芸が製作したクラシカルで高級感のあるプレジデントハンガーが迎賓館に納入された。)
海外での出会い
1985年11月には本社 社屋が完成し、営業をはじめとした主幹機能が再び本社社屋へ設置され、岩中工場は生産現場としての機能を存分に発揮するようになった。
更に1986年には台湾のハンガーメーカーと取引を始め、木製ハンガーの輸入を開始した。当時は海外から安く調達したいという意識はなく、単にハンガーに対する探求心から自然と海外を求めた。このとき出会った会社とは現在に至るまで30年以上にわたりパートナー企業として信頼を構築している。
海外のハンガーには日本のテイストに近いものもあれば異質なデザインや材料のハンガーもあり、それらも積極的に取り入れることで商品の幅を広げていった。