2月7日は『国産ブナ材の日』
国産ブナ材の未来を考える

私たちは毎年2月7日を『国産ブナ材の日』に制定しました(日本記念日協会認定済)。数字の2と7を「2(ブ)」と「7(ナ)」と読む語呂合わせから、この日にしました。日本各地にブナ林はありますが、現在はほとんど活用されていません。普段ブナを使ってハンガーを作っている私たちは日本のブナ林を通して自然保護と森林資源の活用促進、地方創生の実現を願い、『国産ブナ材の日』を制定しました。2022年に初めての『国産ブナ材の日』です。この日をきっかけに日本の豊かな自然のこと、森林のことに目を向ける。そんな日になることを願っています。

木材としてのブナについて

ブナと聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?どんぐり?空に向かって伸びる大きな木?ブナという名前を聞いたことはあれども、具体的なイメージはなかなか思い浮かばないのではないでしょうか。実は半世紀前まで、ブナ林は日本各地で集落経済の貴重な資源として、薪や炭として使われていました。しかし、石油やガスといった化石燃料を中心とした社会に切り替わってからは、この持続可能性を持ったエネルギー循環の仕組みは使われなくなってしまいました。少し前までは日常生活において身近な存在だったはずのブナ。現代では主に家具の材料として使われています。曲げ加工に適しているため家具や太鼓の胴にも利用されているブナは、気づいていないだけで、身近な木製品に使用されているかもしれません。是非探してみてくださいね。みなさんのご自宅にあるテーブルや棚も、もしかするとブナで作られているかもしれませんよ。



木材としてのブナの特徴

ブナという木は漢字で橅と書きます。木へんに無で『橅』。腐りやすく加工後に反りやすいため価値が無い、とのことから橅の漢字が生まれたという説もありますが、ブナの木は森とそこに暮らす動物たちを育む素晴らしい力を持っています。では、なぜハンガーを作る際にブナが選ばれているのかというと、3点の理由が挙げられます。まずは上述のとおり、耐久性があることで様々な形状を実現することができる点。次に曲げ木に最適な木質であることから、人体のカーブを再現するためのハンガーの曲線を美しく表現できる点。そして木目が細かく、表面がなめらかであることから、衣類に優しい点です。大切なお洋服を長い時間かけておくハンガーだからこそ、しっかりとした木質が求められます。木肌が白く美しいブナは、そのまま木の色を活かした加工を施しても、色をつけてもきれいな品に仕上がります。ブナは加工の過程においても、完成後の状態でも、ハンガーの材料とするにピッタリな木材です。

ブナの森について

皆さんはブナの森を訪れたことがありますか?ブナ林は水源涵養機能(保水力)が高く、水の森と言い表すこともできるほどです。また、豊かな生態系を保持しており、これから先の未来に残していきたい存在でもあります。このコラムでは、ブナの木と動植物の関わりについて説明していきます。ブナの木はヨーロッパではよく親しまれており、樹相が優美で女性的なことから「森の母」と呼ばれるほどです。また、ブナの落ち葉により森の土が豊かになり、下木や動植物たちの成長を助けることから、「森の医者」とも呼ばれています。そんなブナの森ですが、1920年代~30年代は戦後復興の需要に対応するため、「拡大造林政策」が取られ、広葉樹の天然林を伐採し針葉樹中心の人工林に植え替えられていきます。エネルギーの化石燃料への移行も進み、各地にあったブナ林は縮小しました。希少な存在となったブナの森の多様性、水源涵養機能(保水力)の高さなどのブナ林の環境面での重要な役割が注目され、保護する運動が各地で行われてきました。

今後の国産ブナ材の未来

日本のブナ林の多くも一度は人の手が入った森です。未来に残していくためには放置せず、人の手による管理や保全、活用することが必要です。今後はブナを活用することで森林の循環利用のサイクルを促進し、永続的なブナ林の運営と保護が求められます。