ハンガーの木部を成型する職人、サンディングをかける職人、塗装を吹き付ける職人

Special Interview

職人が語る AUT-05

NAKATA HANGER を代表するモデルである AUT-05 は、熟練の職人たちがそれぞれのクラフトマンシップを発揮することで作られています。
今回は3名の職人たちに AUT-05 がもつ魅力を語ってもらいました。
これを読めばあなたもきっと AUT-05 を手に取ってみたくなるはずです。

工房の一室で行われたインタビューの様子

Craftsmen

職人の紹介

  • 成型を担当する櫻井マイスター

    櫻井マイスター(成型)

    角材をハンガーの形に成型する工程を担当。個性がある天然木材を美しい左右対称の形に仕上げます。

  • 荒磨きを担当する中島マスター

    中島マスター(荒磨き)

    成型された木部をサンドペーパーで形を整えながら表面を滑らかに研磨する工程を担当。

  • 塗装を担当する清水マスター

    清水マスター(塗装)

    磨かれた木部を塗装する担当。ハンガーを着色することでより高級感を高めていきます。

3名とも高い技術を身に付けた、当社独自の社内資格「マイスター制度」で認定された職人たちです。マイスター制度は一般的な役職昇進だけにとどまらないキャリアアップの制度で、専門的な技術や知識に優れた職人を正当に評価することで持続的な現場での活躍と成長を促進しています。

AUT-05 の大きな特徴の1つでもある肩先の丸みは、どうやって生まれているのでしょうか?

櫻井

丸みを作るのは、成型後の荒磨きで最終的にきれいに丸めてもらうのですが、その前段階として、面を取って丸めやすくする作業を、加工の僕のところでやっています。何本か面を取って丸い形状に近づけていくんですけど、左右対称に取らないといけない。あと背中側と前側とでは面の取り方が全然違うので、面の取り方とか面の大きさ等も変わってきます。

基本的に木材を削る時は型を使うので、右左は同じように仕上がるんです。ただ型のセットも細かくあって、セット次第で変わってくるので、そのセットをきっちり左右合わせて削る。その後に今度は手作業で面を取っていくので、その手作業のところはやっぱり一本一本差が出るところになってくる。それを差がないように面の大きさを気にかけながら、最後のバランスを考えながら面を取っていきます。

面を大きく取りすぎてしまったら、荒磨きで大きく取った分はもう修正ができないんです。木部がなくなってしまうので。だから取りすぎないようにしないといけない。ただ小さすぎると、荒磨きで丸める時に丸めるのが大変なので、その絶妙なサイズ感を気にかけて作っています。

型を使って木部を削り、手作業で面を取る成型の工程
磨くための削り代を残してハンガーの形を成型できるのは、職人の頭の中でハンガーの完成形が思い描けているからです。

成型後に磨きの作業がありますが、磨く上で AUT-05 の難しいところはどこですか?

中島

AUT-05 は前から後ろまで丸みで繋がっているんですが、丸みの大きさが肩の上、背中、前面で違うんです。これをきれいに見せるために繋げるのが難しいですね。AUT-05 と似た形のスーツハンガー SET-01 は直線的なシルエットで、AUT-05 は曲線美のシルエットなので、商品によって磨きの力の入れ方が変わってきます。

磨きと塗装はどういう関係にあるのでしょうか?

中島

すごく重要です。磨いて生地の表面が粗いと、塗装でいくら綺麗にしても仕上がりが綺麗にならないんですよ。光沢であったりとか、曲線美も直線美もなんですけども。磨きでしっかりとそこを綺麗にしてやることで塗装しやすく、というところは考えながら磨いています。今は荒磨きは番手違いで2回、昔は3回磨いていました。

清水

磨きを2回でも良い表面状態を作ることができるので、磨きのレベルの高さがありますね。

磨き上がった木部を確かめ合う荒磨きと塗装の職人
部分ごとに丸みが異なる、と語る中島さん。お手元に AUT-05 をお持ちのお客様はぜひハンガーの形状を手でなぞってみてください。

AUT-05 に中田工芸の技術力が表れるのはどんなところですか?

櫻井

AUT-05 は肩先の方はすごい曲線がある一方で、背中側は湾曲しながら綺麗に丸まっていたり、一つのハンガーで面が色々と変わっているんです。でも底面は手触りが角ばらない程度の小さい面である。どの角度から見ても面もあれば、曲線もあるんです。普段目にかけるハンガーではないかなと思います。

服をかけると曲線の部分は隠れてしまうんですけど、隠れちゃっているところが逆に見てもらいたいところです。

清水

この色(マーズブラウン)で木目をある程度活かしながら仕上げるのは当社の技術力の一つなのかなと。濃い色で塗装すると角面が研磨する時に剥げたり、ざらつきが残ったりしやすいんですけれど、それもあまりなく仕上げるところは塗装課全員でこだわっているところですね。

品質維持のために日々意識していることはどんなことですか?

櫻井

AUT-05 は作業工程に入っていない日がない位、1年中作っています。木材には硬いとか柔らかいとか質がそもそもあって、それを真ん中で接着するので左側は材料がちょっと柔らかめ、右は硬い材料ということもあるんです。その違いは実際に作業しないと分からないんですけど、硬い時は逆目ができやすかったり、柔らかいものはできにくかったり。そういう違いが出てきたとしても同じ品質で仕上がるように一本一本意識してやっています。

また、作る人が変わっても同じ品質のものを作らないといけないので、面の大きさだとか、同じ仕上がりになるように意識して作業しています。新しい作業者に教えたりすることもあるので、人が変わっても品質は変わらないようにしないといけないですね。

清水

塗装もほぼ全て手作業で行っているので、作業者によって違いがあれば当然仕上がりが変わってしまう。そこは同じく意識している点です。塗装は気温や湿度の影響をかなり受ける作業なので、常に温度計を見ている余裕もないので、体感で湿度が上がってきたなとか、今日は寒いな暑いな、そういうのを肌で感じながら作業しています。梅雨時が多いんですけど、雨が降り出したらちょっと匂いがするじゃないですか。外の近くにいる人が声を出して、ちょっと雨が降り出した、湿度が上がるんちゃうか、みたいな注意喚起も最近やっています。

スプレーガンで木部を塗装する工程
意外と複雑な立体形のハンガーへ均一に色をのせるためには熟練の技術が必要です。

AUT-05 の好きなところはどんなところですか?

中島

荒磨きで何千本、何万本と磨いてきて最近思っているのが、この丸みの魅力を引き出しているのは、前面とか背中面のフラットな部分じゃないかなと。このフラットな部分があるから丸みが綺麗に見えると思っていて、すごくこのフラットな部分を大事にしています。

この平面・フラットな面が丸みを帯びてしまうとだらんとした、ちょっとボケたような感じに見えてしまう。でもここにちょっとでもフラットな面があると、丸みがすごく目立つんですよ。綺麗にみせるための引き立て役みたいなところ。ここを大事にしたいなというのが、好きなポイントかなというところです。

清水

僕も何千本、何万本と作業している中で、見ていて飽きないハンガーだなと思っています。10年弱やっていますけど、この形と、このマーズブラウンという色は、ずっと見ていても飽きないので、それは好きなポイントですね。

そしてこれだけ立体的な構造で3Dで複雑というのは、やっぱり作業する者としてかなり修行ができるので、技術力を高めるのにちょうど良い形状なのかな、というちょっと変な感じも持っていますね。

櫻井

僕はハンガーの丸みですね。背中側の丸みとか、肩先の前側とか、首の裏側とか。その丸みが結構、僕は綺麗だなと思っていて。ハンガーの完成形を自分は分かっているので、これくらいで丸みになるよなとか考えながら作っていますが、ずっと触ってたい、そういう思いになるぐらい。

なかなかハンガーを触っていたいって思うことはないと思うんで。そう思えるぐらいの形、丸みの綺麗さが、僕はすごい好きだなと思っています。

ベルトサンダーで木部を荒磨きする工程
ハンガーの表情にフラットな面と丸みのある面というメリハリをつけてくれるのが荒磨きの作業です。
インタビューを終えた3名の職人
インタビューは本社工場と青山にあるショールームをオンラインで繋いで行われました。ハンガーの奥深さに改めて気づく機会となりました。

それぞれの工程で職人たちが技術とこだわりを発揮し、それをリレーのバトンのように繋いでいって出来上がったものが NAKATA HANGER のハンガーです。

ハンガーを手に取った時の重厚感。服をかけた時のシルエットの美しさ。服をかける喜びをぜひ NAKATA HANGER のハンガーで感じてみてください。

マーズブラウンのジャケットハンガー AUT-05N AUT-05N ¥5,500(税込) 商品ページへ